シラバス情報
最終更新日時:2018/03/12 09:44:09
授業概要 |
この講義では、西洋音楽の文化のなかで、20世紀前後に起こった調性崩壊以降の、いわゆる「現代音楽」を扱う。このクラスでは、おもに第二次世界大戦以降を対象とする。 現代音楽には、難しいといった印象がもたれることもあるが、それぞれの作曲家の思想や理念に触れ、その成り立ちを知ることが、作品理解の鍵となる。 たとえば、4分33秒のあいだ、まったく何も演奏されない《4分33秒》では、何が聞こえるのか? ジョン・ケージが意図したことは何だったのか? 図形楽譜はどうやって読み解くのか? なぜ五線紙を使わなかったのか? こうした問いを考えながら、現代音楽の様々な現象に触れていく。 講義では、CDを聴いたり、DVDを観たりする他、教員やプロフェッショナルな演奏家による実演も盛り込む。学生の皆にも、ピアノの鍵盤を肘でぶっ叩いてもらったり、直線を引いてそれを辿ってもらったりする。なんといっても、現代音楽が、生の、臨場感溢れる、刺激的な芸術であることを体感してもらいたいからだ。 心配しなくていい。難しくないし、前提知識も必要ない。ただ重要なのは、感性を開くことである。
|
授業の到達目標 |
1. 現代音楽には様々な種類があり、個々の作曲家や芸術グループの理念や主義主張のもとに作られている、ということを理解する。
2. 現代音楽に抵抗感のある者はそれを無くし、すでに現代音楽に親しんでいる者はさらに理解を深める。
3. 講義で扱う内容(第二次世界大戦以降、今日までの現代音楽史上、重要な事象)のなかから興味のある芸術潮流を一つ以上見つけ、それについて深く知る。 |
授業計画 |
1: |
第1回:音群作法 | H.カウエルのトーン・クラスター、G.リゲティのミクロポリフォニー、K.ペンデレツキのノイズ的クラスターの手法を学び、それぞれの作曲家が音群作法によって意図した表現の違いを探る。 ※最初に、イントロダクション(履修についての説明)とアンケートの実施
|
|
2: |
第2回:テクノロジーの発達と電子楽器 | 20世紀に急速に発達したテクノロジーは、音楽界にも影響を及ぼした。テルミンやオンド・マルトノといった電子楽器の音を聴く。 |
|
3: |
第3回:引用音楽 | L.ベリオ、B.ツィンマーマン、A.ペルト、M.カーゲルの作品を通じ、引用音楽の意味を考察する。 |
|
4: |
第4回:不確定性の音楽、偶然性の音楽 | 不確定要素が含まれた作品を概観する。また、J.ケージの《4分33秒》を通じて音を「聞くこと」と「聴くこと」の違いを体験するとともに、作曲家の役割とは何かを考察する。 |
|
5: |
第5回:図形楽譜 | 様々な図形楽譜を解読する。また、楽譜とは何を伝えるものであるのかを考える。 |
|
6: |
第6回:アメリカ実験音楽 | 内部奏法の含まれたピアノ作品を鑑賞する。また、ピアノの弦の間に布や金属を挟んで打楽器的な音色に変質させるプリペアド・ピアノを、実際に作ってみる。さらに、実験的な試みの数々を行ったフルクサスのアートを体験する。 |
|
7: |
第7回:ミニマル・ミュージック | S.ライヒの《カム・アウト》、《ピアノ・フェイズ》を中心としたミニマル・ミュージックを聴き、「漸次的位相変位プロセス」を体感する。 |
|
8: |
第8回:ミュージック・シアター | 演奏行為へのまなざしや、音楽表現を通じた時間や場の操作など、現代作曲家たちの、音楽を一歩超えた挑戦を追う。 |
|
|
教科書 |
特になし。 |
参考文献 |
講義内の配布資料にて、随時、提示する。 |
成績評価方法 |
割合 |
評価基準 |
レポート: |
50%
|
掘り下げの深いレポートを高く評価する。なお、出席率が3分の2に満たない者のレポートは受け付けない。 |
平常点評価: |
50%
|
その場での体感が重要な講義なので、出席率は重視する(各自、Course N@vi上で1週間にないに出席登録をすること)。また、講義への積極的な取り組み姿勢(挙手による発言や返答、パフォーマンスの披露)を、高く評価する。講義内で書いてもらうリアクション・ペーパーも、平常点評価の対象である。 |
|
備考・関連URL |
|