シラバス情報
最終更新日時:2018/03/12 09:44:09
授業概要 |
この講義は、古典派から現代までの西洋音楽における重要な出来事を辿り、その大まかな歴史を追うものである。広く浅くではなく、トピックを絞り、政治や宗教、音楽以外の諸芸術とも関連付けながら、一つの事象を深く掘り下げる。 このクラスでは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタから現代音楽までを対象とする。 音楽にナショナリティはあるのか? 音楽は音楽外のものを表現できるのか? こうした問いを考えていく。 講義では、CDを聴いたり、DVDを観たりする他、教員やプロフェッショナルな演奏家による実演も盛り込む。感性を開いて、鑑賞してもらいたい。また、毎回、講義内で、リアクション・ペーパーを書いてもらう。 履修にあたって、特別な音楽的知識は要しない。西洋音楽に興味のある者、好奇心旺盛な者、志の高い者を歓迎する。
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授業の到達目標 |
1. ベートーヴェンから現代音楽までの西洋音楽史の流れを、政治や宗教、音楽以外の諸芸術と関連させて理解する。
2. 感性を使って作品を捉える。
3. 講義で扱う作曲家のなかから興味のある作曲家を1人以上見つけ、その作曲家が作曲した楽曲について深く知る。あるいは、講義で扱う音楽的事象のなかから興味のあることがらを1つ以上見つけ、それについて深く知る。 |
授業計画 |
1: |
第1回:ピアノの歴史 | クリストフォリによって発明されたピアノの原型の構造を知る。また、L.ベートーヴェンがピアノの改良に合わせて、作曲の可能性を広げていったさまを辿る。 ※最初に、イントロダクション(履修についての説明)とアンケートの実施
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2: |
第2回:リート | J.W.ゲーテの「魔王」に基づいた3つの歌曲の比較を通じて、リートの世界に親しむ。 |
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3: |
第3回:ロマン主義思想、サロン文化、超絶技巧化 | R.シューマンの思想を通じて、19世紀に高まりを見せたロマン主義の概念を、文学の潮流もふまえて考察する。また、ブルジョワジーの台頭とサロン文化の形成、超絶技巧化の歴史を学ぶ。 |
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4: |
第4回:標題音楽と絶対音楽 | 音楽は音楽外のものを表現することができるのか? H.ベルリオーズの《幻想交響曲》の事例から「標題音楽」について学ぶ。同時に、標題音楽に対立するものとして主張された「絶対音楽」について考察する。 |
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5: |
第5回:ナショナリズムの台頭 | チェコのB.スメタナ、フィンランドのJ.シベリウスなどの作品を事例に、音楽がナショナル・アイデンティティの表現としてどのように用いられ、またそれは文化の中でどのように機能していったかを考える。 |
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6: |
第6回:ワーグナーの楽劇 | R.ワーグナーの楽劇におけるライトモチーフの手法を学ぶ。また、彼の芸術思想を紐解き、その壮大な世界観を体感する。 |
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7: |
第7回:世紀末芸術 | 19世紀末から20世紀初頭にかけての芸術の転換の諸相を、ウィーンとパリの事例から明らかにする。 |
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8: |
第8回:現代音楽 | 20世紀以降の現代音楽における様々な革新的試みに触れる。 |
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教科書 |
特になし。 |
参考文献 |
講義内の配布資料にて、随時、提示する。 |
成績評価方法 |
割合 |
評価基準 |
レポート: |
50%
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掘り下げの深いレポートを高く評価する。なお、出席率が3分の2に満たない者のレポートは受け付けない。 |
平常点評価: |
50%
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その場での体感が重要な講義なので、出席率は重視する(各自、Course N@viにて1週間以内に出席登録を行うこと)。また、講義への積極的な取り組み姿勢(挙手による発言や返答やパフォーマンスの披露)を、高く評価する。講義内で書いてもらうリアクション・ペーパーも、平常点評価の対象である。 |
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備考・関連URL |
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